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福岡地方裁判所 昭和56年(行ウ)6号 判決 1988年3月08日

原告

田中義己

ほか85名

原告ら訴訟代理人弁護士

加藤康夫

石川礼子

右訴訟復代理人弁護士

吉田雄策

被告

右代表者法務大臣

林田悠紀夫

被告

九州郵政局長佐藤豊

福岡中央郵便局長山口寛

福岡西郵便局長平田寛一

筑紫郵便局長西村久義

被告ら訴訟代理人弁護士

松尾俊一

被告ら指定代理人

川内将弘

安藤三男

岡本洋一

神代博高

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(一)  被告九州郵政局長が別紙処分目録(略)記載の原告番号1ないし14の各原告に対し、被告福岡中央郵便局長が同目録記載の原告番号15ないし35、47ないし53及び63ないし79の各原告に対し、被告筑紫郵便局長が同目録記載の原告番号36ないし46、54ないし56及び80の各原告に対し、被告福岡西郵便局長が同目録記載の原告番号57ないし62の各原告に対し、それぞれ昭和五三年三月一八日になした同目録「処分の内容」欄記載の各懲戒処分は、これを取り消す。

(二)  被告国は、別紙損害等内訳表記載の各原告らに対し、それぞれ同表「総額」欄記載の各金員及びこれに対する昭和五六年三月二〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(三)  訴訟費用は被告らの負担とする。

(四)  第(二)項につき仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(一)  主文同旨

(二)  仮執行免脱の宣言

第二当事者の主張

一  請求原因

(一)  原告らは、被告国(郵政省)に勤務する国家公務員であり、昭和五三年三月一八日当時、別紙処分目録「処分当時の勤務先」欄記載の各部署に勤務していた。

(二)  被告らは、同日、それぞれ、請求の趣旨(一)記載のとおり、同目録「原告名」欄記載の各対応原告らに対し、同目録「処分の内容」欄記載の各懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)及び訓告処分をなした。

(三)  しかしながら、本件懲戒処分及び訓告処分は違法であり、原告らは、これにより停職または減給に伴う損害及び昇給延伸に伴う損害(いずれも訓告処分を受けた原告らを除く。)並びに精神的苦痛による損害を受けたが、その損害金額は別紙損害等内訳表の各項目記載のとおりである。

(四)  また、原告らは、昭和五二年三月二八日から同年四月四日まで、同年五月六日及び同年一二月三日から同月二四日まで、いずれも労務を提供し又は適法に年次有給休暇もしくは有給の病気休暇を取得したにもかかわらず、被告国は、原告らに対し、別紙損害等内訳表「4月(業務移管)」ないし「1月の年繁、休暇」の各欄記載の賃金を支払わない。

よって、原告らは、本件懲戒処分の取消を求めるとともに、被告国に対し、不法行為に基づく損害金及び未払賃金の合計たる別紙損害等内訳表「総額欄」記載の金員及びこれに対する不法行為の後であり、かつ、賃金支払日の経過した後である昭和五六年三月二〇日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因(一)、(二)の各事実はいずれも認め、同(三)、(四)の主張はいずれも争う。

三  被告の主張

(一)  本件懲戒処分等の理由となった各闘争の背景事情及び態様について

1 業務移管拒否闘争について

(1) 闘争に至る経過

ア 業務移管の必要性について

福岡中央郵便局(以下「福中局」という。)は、九州における郵便輸送の拠点局としての機能を有する郵便局であるが、同局付近の道路事情が悪化する等その機能を十分発揮することが極めて困難な状況になったことから、郵政省(以下「省」という。)は、この問題を改善し、将来にわたって正常な業務運行を確保するため輸送拠点局としての立地条件等を考慮して、博多郵便局(以下「博多局」という。)の増築摸様替工事を行い、昭和五二年二月以降、福中局の分配事務(全国から到着した郵便物を福岡県内の各郵便局あてに区分し、差立てる事務)及び郵便専用自動車便の起点局機能などを博多局へ移管することとし、その具体的計画を策定した。

イ 業務移管実施に至るまでの省と組合との応対について

本件業務移管実施計画は、あくまでも省が企業運営上その決定権及び責任を保持しながら計画し、かつ実施するものであるが、省としては、その実施に当たって関係職員の労働条件に影響を与える面もあるので、労使相互の理解を深め、意見の調整を図り、計画を円滑に実施するため、この種計画の実施については、従来から全逓信労働組合(以下「全逓」という。)及び全日本郵政労働組合(以下「全郵政」という)との間で協約に基づき事前協議を行ってきていた。

一方、省と全福岡中央郵便局労働組合(以下「全福中労」という。)との間においては、当時この種の計画の事前協議に関するルールが確立されていなかったため、省としては、全逓及び全郵政との均衡を失しないように、全福中労に対して、昭和五一年三月二七日に、「博多局の改築に伴い、福中局における分配事務等を昭和五二年二月博多局に移管し、所要の調整を行う」ことを内容とする昭和五一年度実施計画要綱を、また同年五月一五日には、博多局に移管を予定している主な分配事務の内容をそれぞれ福中局を通じて提示・説明した(ちなみに、全逓及び全郵政に対しては、右の提示説明をそれぞれ同年三月二五日ないし同年五月一四日までに行った。)。

これに対し、全福中労は、同年一〇月一三日、福中局長に対して「博多局業務移管に関する団体交渉申入れ」を提出したが、当時、本件の具体的実施計画は本省において策定中であり、福中局としてはその内容を了知していなかったため、九州郵政局の指示に基づき、同年一〇月二〇日及び同年一一月九日、「現在のところ、その具体的実施計画について、本省において策定中と聞いている。したがって、当局としてもこれまでに説明した以上の具体的内容については了知していないところであるが、今後知り得た段階において必要に応じて説明するとともに、意思疎通を図っていきたい。」、「また、説明の取扱いについても現在検討中であり、まとまり次第別途説明する。」旨回答した。

同年一二月一三日、省は、全福中労に対して福中局を通じてファクシミリ電送(以下「ファクシミリ方式」という。)により、「福岡中央局に関係する本件計画の円滑な実施をはかるため、貴組合の十分な理解と協力を得たいと考えるので、計画が具体化すれば、別紙協約案により説明し、実施していきたいと考えている。」として、「博多郵便局の局舎増築に伴う郵便業務移管計画の協議に関する了解事項(案)」及び「『博多郵便局の局舎増築に伴う郵便業務移管計画の協議に関する了解事項』に関する郵便局における具体的計画の取扱いについての確認事項(案)」を提案した。右了解事項及び確認事項の内容は、この種計画の提示説明の取扱いについて、省と全逓及び全郵政との間に締結されている協約を基本として作成したものであり、従前から省において確立している取扱いを全福中労との間にルール化しようとするものであった。

この提案に対し、全福中労は、同年一二月一四日、郵政大臣に対して「『博多局への業務移管に関する事前協議協約』締結のための団体交渉申入れ」を行ってきた。省は、同年一二月一八日、福中局を通じてファクシミリ方式により、「九州郵政局で事実上の話合いを行い、最終的合意の確認については本省との間で行いたい。この九州郵政局での事実上の話合いは、一二月二一日(午後一時~三時)行いたい」旨を回答した。これは、昭和四九年一一月二日付けの公労委勧告に基づく、団交協約についての交渉の進め方と同一のものであった。また、同日、全福中労との間で五回窓口折衝をもった際に、前記話合いの日時については希望があれば出来るだけそれに応じたい旨を申し添えた。その際、全福中労は、「事実上の話合いの場でよいが、場所は福中局だ」との主張をして、省の右提案に同意し、開催場所のみを問題にした。しかし、同組合はその後、前言を翻えして「事実上の話合いではだめだ。団交を受けるか否かの問題だ。」という趣旨の主張をした。

同年一二月一九日、全福中労は、郵政大臣に対し「博多郵便局への業務移管に関する各種協約締結のための団体交渉申入れ」を行ってきた。省は、二三日、前回の団体交渉申入れに対するのと同一の方法で応じることとし、「九州郵政局における事実上の話合いの希望日時等を連絡されたい」旨回答するとともに、九州郵政局としては同年一二月二五日に行ってもよいとの意向を示したが、同組合はこれに応じなかった。

同月二八日、省は、本件業務移管計画の具体的実施計画がまとまったので、「博多局の局舎増築に伴う分配事務の移管等に関する具体的実施計画」として提示説明することとし、福中局を通じて、全福中労に右計画概要書を手交しようとしたところ、同組合は、「この問題については公労委に不当労働行為として提訴しているので、その結論をまって対処する」旨発言するのみで、本件具体的計画の提示を受けなかった。

その後、省は同日及び同月三〇日、更に昭和五二年一月六日あるいはその後においても繰り返し同様の申入れを行ったが、同組合は右同様の発言を繰り返すのみで、省の右具体的計画の提示の受領を拒否したため、同年三月二八日に、やむなく省の責任において本件業務移管を実施した。

なお、原告らの全福中労所属職員の博多局への配置換えは行われなかった。

(2) 闘争の具体的態様

全福中労は、本件業務移管の実施について、「団交を拒否されたということは、全福中労組合員は、業務移管計画のラチ外である。だから、われわれは、当局のいかなる業務命令も拒否し、従わない闘いを展開する」等として、昭和五二年三月二三日に「業務移管に関する業務命令はすべて拒否せよ」等との闘争指令を発し、その後も同月二五日、二六日、二八日、三〇日及び四月二日にいずれも同様の指令を次々に発するとともに、右指令等を記載した組合機関紙「おはようニュース」を所属組合員に配付した。

右指令を受けた全福中労所属の職員は、これに従い、同年三月二八日から、同年四月四日の指令によって解除されるまでの八日間にわたり、福中局長をはじめとする上司の警告や就労命令等を無視して、集団で職場を離脱し、勤務時間中に局外の公園でソフトボールをする等して所定の勤務を欠いたものであり、その具体的態様は以下のとおりである(以下単に「組合」というときは全福中労を指す。)。

ア 三月二八日関係

福中局郵便関係課及び集配関係課に勤務する組合所属職員五五名は、当日の勤務の全部を欠き、各課休息コーナーにたむろするなどし、管理者の就労命令を無視して全く就労の姿勢を示さなかった。

右態様の中で右組合の組合員らは、管理者等に集団で抗議を行い、福中局玄関で座り込みをし、あるいは福中局から約二〇〇メートル離れた住宅生協ビル内に入り込み、その後一旦帰局するなどし、また、一部の者を除いて再度局外に出て福中局から約一・五キロメートル離れた大濠公園に赴き、ソフトボールを行うなどした。

イ 三月二九日関係

福中局郵便・集配関係課に勤務する組合所属職員四八名は、当日の勤務の全部あるいは一部を欠き、管理者の就労命令を無視して大濠公園に赴き、ソフトボールを行うなどした。

ウ 三月三〇日、三一日関係

福中局郵便・集配関係課に勤務する組合所属職員のうち、三月三〇日は三五名が、同月三一日は二六名が、いずれも当日の勤務の全部を欠き、管理者の就労命令を無視し、各課の休息コーナーにたむろしたり組合事務室に入り込むなどして、全く就労の姿勢を示さなかった。

エ 四月一日ないし三日関係

福中局郵便関係課に勤務する組合所属職員のうち、四月一日は二六名が、同月二日は一八名が、同月三日は一一名が、いずれも当日の勤務の全部を欠き、管理者の就労命令を無視して組合事務室に入り込み、全く就労の姿勢を示さなかった。

オ 四月四日関係

組合は、四月四日、前記各闘争指令を解除する指令を発したが、この解除指令を受けて組合所属職員は、郵便関係課で前日から引き続く一六時間勤務を欠務した二名を除いて全員就労した。

2 年末闘争について

(1) 闘争に至る経過

昭和五二年一一月一九日午前、先に全福岡郵政労働組合(全福中労が、同年六月一二日に名称を改めたもの。以下同日を境に、以前を「全福中労」、以後を「全福郵労」と使い分け、場合に応じ両者を通じ単に「組合」と略称する。)からあっせん申請を受けた事案に関し、公共企業体等労働委員会九州地方調停委員会(以下「九州地調委」という。)は、「団体交渉等の今後のあり方が郵政省において検討されている現状にかんがみ、当面の暫定的措置として、当事者双方がお互いの立場を理解するように努め、正常な労使関係の実現を図る見地から」郵政省段階、九州郵政局段階及び福中局段階の区分によって「話し合い」を行うことを骨子とする勧告を当事者双方に示し、双方はこれを受諾した。

同日午後、省は、この勧告を踏まえて、全逓・全郵政に対する取扱いと同様の昭和五二年年末年始繁忙対策の取扱い方法を、全福郵労に対してファクシミリ方式により提案した。その提案の要旨は、関係の福中局、福岡西郵便局(以下「福西局」という。)及び筑紫郵便局(以下「筑紫局」という。)における労使間の話合いの場として三局合同の場及び各局段階の場を設けること、出席委員数は、三局合同の場は、「各々本部役員数と同数以内」、各局段階の場は「現に当該局所に勤務している職員で福中局は七名以内、福西局及び筑紫局はそれぞれ五名以内」とすること、その話合いの対象事項は三局合同の場では「年賀葉書の売さばき」等一七項目について三局が合同で説明すること、これに引き続き「年末年始繁忙対策に関連する事項の中で三局に共通する一定の要求事項」について省の基本的な考え方を説明すること、各局段階においては「志気高揚施策」について説明して意見交換を行い、「総体労働力計画、局舎施設計画及び集配運送計画」について通知・説明すること等を内容とするものであった。

ところが、この省提案に対し全福郵労は、右の九州地調委の勧告を無視するものであるなどと主張し、省からの再三の申入れにも応じなかった。

更に、年末繁忙期が近づいたため、福中局長、福西局長及び筑紫局長は、同年一一月二八日から同年一二月三日までの間、それぞれ自局に勤務する全福郵労の役員に対し、年末年始繁忙計画、局内レイアウトの変更内容等について説明の申入れ等を行ったが、いずれも同役員らはこれに応じなかった。

九州地調委は、一二月五日、昭和五二年の年末年始繁忙対策についての労使間の話合いが右のとおり進捗しないことに鑑み、当局側及び全福郵労を呼び、前記勧告後の状況について事情聴取を行った。その後、九州地調委高原委員長は、当事者双方に対する「希望」として「三局合同のような場で年末年始繁忙対策の処理について双方で話し合う努力をするよう希望する」との表明を行った。これを双方が受けて、同年一二月六日から同月九日までの間、三回にわたり、福中局において「三局合同のような場」を設けて、年末年始繁忙対策について話合いを行い、省としては十分な時間をかけて誠意をもってこれに当たったものの、年末年始繁忙対策全般の話合いは終了するまでに至らなかった。

このような状況の中で省としては、年末繁忙期を翌日に控えていたこともあって同月九日の話合いの中で、三局合同の場での話合いを打ち切り、残された問題は各局において説明していく旨表明した。その後各局においては、全福郵労の役員に対して話合いを申し入れたが、組合側はこれをいずれも拒否した。

(2) 闘争の具体的態様

全福郵労は、福中局長等が団体交渉や勧告に基づく話し合いを拒否した等として、昭和五二年一一月五日「年賀葉書売りさばき拒否」、同月二四日「ワッペン、腕章、ハチ巻を着用せよ」、同月二九日「仮設におけるすべての作業拒否」等をそれぞれ組合員に指令する一方、同月二八日、中央執行委員会を開催して本件年末闘争の戦術を決定した。

その後、全福郵労は、同年一二月二日に「レイアウト変更に伴う作業場の移動による変更された職場での作業拒否」を、同月三日に「臨時便の差立、発着業務の拒否」をそれぞれ指令し、同月三日から六日までの間、三局において全福郵労に所属する職員(集配関係課中心)は、三局長等の警告や就労命令等を無視して、勤務時間中であるにもかかわらず休息コーナー等に入り込み、雑談したり、新聞・雑誌を読む等して所定の勤務の全部又は一部を欠いた。

同月六日、全福郵労は、「一二月六日一三時より一七時まで福中局において九州地調委委員長の希望に沿って話し合いを行うことになった」等として「別途指令するまでの間、・・・正常な勤務に服せ」と指令し、全福郵労所属の職員は、同日午後からそれぞれ所定の勤務についていたが、同月九日、この話合いが決裂したため、全福郵労は、「一二月一〇日全組合員は自己の始業時刻より、さきに指令していた・・・内容を実践せよ」等と指令し、全福郵労所属の職員(集配関係課中心)は、三局において、同月一〇日から同月一六日までの間、三局長等の警告や就労命令等を無視して、勤務時間中であるにもかかわらず休息コーナー等に入り込み、雑談や将棋をする等して所定の勤務の全部又は一部を欠いた。なお、この間、全福郵労は突然一斉に作業を止め、また突然一斉に就労する等の行為を繰り返す等悪質な闘争戦術を用いた。

その後、全福郵労は、同月一七日以降同二二日まで違法な闘争を中止していたが、同月二三日、三局において、勤務の途中突前然一斉に作業を止めて休憩室等に入り込み、九州郵政局の警告や三局長等の就労命令等を無視して、所定の勤務の一部を欠き、また同月二四日にも、「今次年末闘争における戦術の全面解除を指令する」旨の指令が発せられた午前一〇時頃までの間、三局において始業時刻から勤務を欠くなどした。

その具体的態様は、以下のとおりである。

ア 福中局における闘争態様

福中局に勤務する組合所属職員のうち、昭和五二年一二月三日は二名、同月四日は五名、同月五日は三一名、同月六日は三三名、同月一〇日は三八名、同月一一日は一三名、同月一二日は四一名、同月一三日は三五名、同月一四日は三七名、同月一五日は三八名、同月一六日は三五名、同月二三日は三一名、同月二四日は二七名が、それぞれ当日の勤務の全部又は一部を欠き、各課の休息コーナーにたむろしたり、移転前の事務室で雑談したり、局外へ出たりなどし、管理者の就労命令を無視して全く就労の姿勢を示さなかった。

右態様の中で組合員の一部は、一二月一〇日には、管理者の制止及び撤去命令を無視して、管理者を誹謗する内容の立看板を福中局公衆室前の局用掲示板に鎖でつないで立てるなどし、同月一四日ないし一六日には、管理者に対し、集団で抗議したり暴言を浴びせたりした。

イ 福西局における闘争態様

福西局に勤務する組合所属職員のうち、昭和五二年一二月五日及び六日は各一名、同月一二日は九名、同月一三日は八名、同月一四日は一一名、同月一五日は六名、同月一六日は九名、同月二三日及び二四日は八名が、それぞれ当日の勤務の全部又は一部を欠き、休息コーナーにたむろしたり、局外へ出たりなどし、管理者の就労命令を無視して全く就労の姿勢を示さなかった。

ウ 筑紫局における闘争態様

筑紫局に勤務する組合所属職員のうち、昭和五二年一二月五日は一五名、同月六日は一四名、同月一〇日は一三名、同月一一日は三名、同月一二日は一五名、同月一三日は一四名、同月一四日は一二名、同月一五日は一四名、同月一六日、二三日及び二四日は各一五名が、それぞれ勤務の全部又は一部を欠き、各課の休息コーナーにたむろしたり、局外へ出たりなどし、管理者の就労命令を無視して全く就労の姿勢を示さなかった。

右態様の中で組合員の一部は、同月一三日、組合所有物品を局内用郵便運搬車に載せて局内に持ち込むなどした。

3 祝日配達休止関係について

(1) 本件試行に至る経過

省は、労働時間短縮の時代的趨勢及び関係労働組合からの要求等を考慮し、職員の労働条件改善の一環として、祝日における郵便配達業務の休止(以下「祝日休配」という。)について検討することとし、昭和四九年度以降、一部の郵便局で試行してきた。昭和五二年五月五日の祝日には、全国の全ての集配郵便局で祝日休配を試行することとされ、福中局もその対象局となった。

本件祝日休配を実施することによって、休止日の翌日(五月六日)の業務量が必然的に増加するため、その業務の正常運行を確保する目的から、平常の勤務時間の七時間一〇分を休止日の翌日は八時間五分に延長(延長分は、祝日休止日の正規の勤務時間を従来の七時間一〇分から六時間一五分に短縮して調整を図る。)した。

福中局における五月六日の勤務時間の延長は、既に自局職員に適用されている服務表を適用することによって対応できたので、同局局長は、全福中労所属職員を含む関係職員の五月六日の勤務については、それぞれ当初の勤務指定を右の勤務の種類に指定変更することにより実施した。

(2) 原告らの欠務

これに対し、福中局勤務の全福中労所属の職員のうち原告らを含む二一名は、この変更された勤務指定に従わず勤務の一部を欠き、また、このほか同組合所属の職員四名は、同日の勤務の全部を欠いたものである。

(二)  原告らに対する本件懲戒処分及び訓告処分の理由について

1 原告番号1田中義己、同2舩越莞太郎、同3江田久夫、同4堺善政、同5棚町繁延、同6梅崎邦昭、同7福吉修平、同8島飼豊行、同9今村豊美、同10中野恒文、同11上原利信、同12北口菊男、同13栗秋和治、同14藤野守に対する懲戒処分の理由について

右原告らは、全福中労副中央執行委員長・同書記長・同財政局長及び同中央執行委員(藤野守は業務移管拒否闘争時に限る。)として、博多局への業務移管(北口菊男及び栗秋和治を除く。)及び昭和五二年年末繁忙対策の実施に際し、前記(一)において述べたような違法な闘争の実施計画や実施指令の発出に参画するとともに、それぞれの闘争期間中職場内を巡視し、あるいは組合員に対して指示等の指導的行為を行い、もって多数の組合員をこれに参加せしめ、自らもみだりに勤務を欠き、更には祝日配達休止の試行の際にも、事前に勤務指定を変更されていたにも拘らず、勤務の一部を欠くなどしたため、昭和五三年三月一八日付けで、それぞれ懲戒処分に付されたものである。

(1) 闘争の企画・決定及び実施

ア 業務移管拒否闘争

(ア) 業務移管拒否闘争を実施するに当たり、全福中労は、昭和五二年三月一六日(以下月日のみは昭和五二年のこと)に三役会議、三月一七日に中央執行委員会を開催するとともに、三月二二日には福中局長あてに「博多郵便局への業務移管に関する通告」を提出した。その内容は、「われわれは、三月二八日以降も、現在の服務表にもとづく、現在の担務指定と勤務指定によらなければ就労しないものであることを通告する。」などというものであった。

同組合は、更に、三月二三日及び二五日に「業務移管に関する業務命令はすべて拒否せよ」等を内容とする指令を出し、三月二六日、「全分会は、第二五回中央執行委員会終了後すみやかに分会集会を開催し戦術の徹底をはかれ」との指令を発し、同指令等を掲載したビラ「おはようニュースNo39」(発行責任者全福中労宣伝部)を早朝、局前において配布するとともに、同日、中央執行委員会を開催して最終戦術を決定した。

三月二八日には、本件闘争への突入を指令し、更に、三月三〇日、四月二日、四月四日には、それぞれ本件闘争の継続及び解除等を指令した。

(イ) 以上の経過から、右会議、指令等において業務移管拒否闘争が企画、実施、指導されたものであることは明確であり、組合副中央執行委員長の地位にある原告田中及び同舩越、書記長の地位にある原告江田、財政局長の地位にある原告境、中央執行委員の地位にある原告棚町・同梅崎・同福吉・同鳥飼・同今村・同中野・同上原及び同藤野は、右会議等の構成員としてこれに参画し、多数の組合員を右違法な闘争に参加せしめる等したものである。

イ 年末闘争

(ア) 年末闘争を実施するに当たり、全福郵労は、一一月五日、「年賀葉書売さばき拒否」等を、同月二四日、「本指令の発出をもってワッペン、腕章、ハチ巻を着用せよ」等を組合員にそれぞれ指令した。

同組合は、一一月二八日には、中央執行委員会を開催して戦術を決定し、一一月二九日には三役会議を開催するとともに「仮設におけるすべての作業拒否」等を組合員に指令し、更に、闘争期間中の一二月二日、同月三日、同月七日、同月九日、同月一〇日にも中央執行委員会等を開催し、各種闘争指令を発した。

(イ) すなわち、右会議、指令等において年末闘争が企画、実施、指導されたものであることは明確であり、組合副中央執行委員長の地位にある原告田中及び同舩越、書記長の地位にある原告江田、財政局長の地位にある原告境、中央執行委員の地位にある原告棚町・同梅崎・同福吉・同鳥飼・同今村・同中野・同上原・同北口及び同栗秋は、右会議等の構成員としてこれに参画し、多数の組合員を右違法な闘争に参加せしめる等したものである。

(2) 本件闘争時における各原告の具体的行為

右各原告は、本件各闘争に参加し、あるいは昭和五二年五月六日の勤務指定等に従わず、それぞれ別紙欠務状況表記載のとおり勤務を欠くとともに、以下のとおり具体的行為をなした。

ア 原告番号1田中義己

(ア) 同原告は、三月二八日、福中局(以下特に示していない場合は同局のもの)第一、第二、第五集配課及び第二郵便課の各休息コーナー並びに第二集配課事務室を、一二月三日、レイアウト変更前の第五集配課を、それぞれ巡視した。

(イ) 組合側は、三月二八日、組合側からの申出により次長室で行われた当局側との面会において、「今後指令を解除するまで組合員を職場に入れないことを通告する。」等の申入を行ない、同日、庶務課応接室での同様の面会において、「他局管理者を明日も職場に入れるなら、組合員は休憩室に入れ、職場には入れない。」等の申入を行ない、三月三一日、次長室での同様の面会において、「みんな腹を決めてかかっている。争いである以上双方損をすることは当然だ。」「処分が出れば国家賠償から仮処分の申請までして局長を被告にする。」等の申入を行ない、四月一日、同室での同様の面会において、「官がこのような態度であれば我々もゲリラ戦法でやる。」等の申入を行なったが、同原告は、右各面会にいずれも出席した。

(ウ) 同原告は、三月二八日午前七時五八分ころ、第二集配課休息コーナーにいた組合員に対し、「いろいろ言わんでよかけん。」と指示し、三月三〇日午前一一時三六分ころ、原告金子昭男の出勤簿押印に付き添い、押印後同人を室外へ退出せしめ、四月二日午前一一時二七分ころ、中庭において、庶務課長桑名稔夫が今永委員長に対して、組合員を就労させるようにとの「申入書」を手交しようとした際、同課長に対し、「就労させているでしょうが。」と言い、一二月一四日午後九時一九分ころ、第一郵便課事務室において、同課課長高橋是清に対して煙草を喫うため椅子を出せと要求し更に、同所に赴いた同課副課長安永国三が仕事をするよう注意したところ、ことさら組合員に聞こえるように大声で「なにっ、ふざけるな、煙草は吸わせんとか。」などと抗議した(これを契機として同室内で作業中の組合員約一〇名が同所に集まり、右両名に対して集団で抗議した。)。

(エ) 同原告は、三月二八日及び同月二九日、管理者の就労命令を無視し、福中局から約一・五キロメートル離れた大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

イ 原告番号2舩越莞太郎

(ア) 同原告は、三月二八日、第二、第三、第五集配課及び第二郵便課の各休息コーナーを、三月三一日、第一郵便課の休息コーナー及び事務室を、一二月五日、第四集配課休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 組合側は、三月二九日、組合からの申出により次長室において行なわれた当局側との面会において、「他局管理者を今日も職場に入れるなら組合員は職場に入れない。」等の申入を行なったが、その際同原告は、右面会に出席した。

(ウ) 同原告は、三月二八日午前八時二二分ころ、第三集配課休息コーナーにおいて、同課課長近藤征二が勤務を欠いていた原告今村豊美に対し就労するよう命令したところ、同原告に対して管理者にとりあわないよう指示し、同日午前一〇時二八分ころ、第二集配課休息コーナー職員用ロッカー付近において、後記三(二)1(2)ウ(ウ)の経緯により、組合員約二〇名が九州郵政局大城戸事務官に対し大声をあげて集団で抗議を行なった際、右抗議に参加し、同日午前一〇時三五分ころ、第二集配課出入口付近において、原告江田久夫が右大城戸事務官から奪った印刷物を同原告から受け取り、更にこれを原告梅崎邦昭に渡し、同日午前一〇時三八分ころから、玄関前に座り込みをしている組合員を見守り、あるいは写真撮影し、三月三〇日早朝、玄関付近において、指令内容等を記載したビラを配布し、同月三一日午前九時五八分ころ、第一郵便課長席付近において、組合所属職員に対して就労命令を発した同課課長金井義秋に対し、「仕事をしようと思って来たんだから、そう言わんでもいいじゃないか。」と言い、一二月一四日、前記三(二)1(2)ア(ウ)の同日午後九時一九分ころからの集団抗議に参加するとともに、同二八分ころ、「さあ行こう。」と発言してその場の組合員を解散させた。

(エ) 同原告は、三月二九日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

ウ 原告番号3江田久夫

(ア) 同原告は、三月二八日、第一、第二、第四、第五集配課及び第二郵便課の各休息コーナーを、三月三〇日、第一、第二、第四集配課事務室及び第一、第二郵便課事務室を、四月一日、第二、第五集配課事務室を、四月二日、第一郵便課の休息コーナー及び事務室を、一二月三日、レイアウト変更前の第五集配課を、一二月五日、第一、第四集配課の各休息コーナーを、一二月六日、第二、第四集配課の各休息コーナー及び第二集配課事務室を、一二月一〇日、第一、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一二日、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一三日、第一、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一四日、第一、第二、第四、第五集配課の各事務室を、一二月一五日、第二、第四集配課の各休息コーナー及び第二集配課事務室を、一二月一六日、第一、第二、第四集配課の各休息コーナー及び第一集配課事務室を、それぞれ巡視した。

(イ) 当局側は、三月二五日、次長室において、今永委員長に対し、組合の闘争を中止するよう警告する警告書を手交しようとした(同人はこの受領を拒否した。)が、同原告は、右警告書手交の場並びに前記三(二)1(2)ア(イ)の三月二八日二回目の面会及び同イ(イ)の同月二九日の面会にいずれも出席した。

(ウ) 同原告は、三月二八日午前一〇時二八分ころ、第二集配課休息コーナー職員用ロッカー付近において、庶務課長代理安田礼一から大城戸事務官が出勤予定者名簿を受け取った際、これを職員用ロッカーから他人の物を取ったと誤解し、「ロッカーからはずし、あれを取りよる。」と発言して、組合員約二〇名による集団抗議を惹起させて、これに参加し、同日午前一〇時三五分ころ、同休息コーナーにおいて大城戸事務官から印刷物を奪って原告舩越莞太郎に渡し、同日午後〇時五〇分ころ、原告平川辰幸の出勤簿押印に付き添い、押印後同人を休息コーナーに連れて行き、三月三〇日及び同月三一日の各早朝、いずれも玄関付近において、指令内容等を記載したビラを配布し、四月一日午前八時一三分ころ、第五集配課事務室において、「庶務の者が区分をしている。写真をとれ。」と組合員に指示し、一二月三日午後二時四一分ころ、レイアウト変更前の第五集配課において、管理者等の状況を写真撮影し、一二月一〇日、管理者の制止や撤去命令を無視して、管理者を誹謗する内容の立看板を公衆室前の局用掲示板に鎖でしばって立てかけ、一二月一六日午前八時ころ、第一集配課において、同原告に退去命令を発した久保園労務連絡官に対し、「これしか能がない奴だ。」などと大声で言い、更に、同日午前八時一五分ころ、第四集配課において、同原告に退去命令を発した同連絡官のことを「転びの前があるから、近よったらあぶない。」などと言って他の組合員に指示した。

(エ) 同原告は、三月二九日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

エ 原告番号4境善政

(ア) 同原告は、三月二八日、第四、第五集配課及び第二郵便課の各休息コーナーを、一二月一〇日、第四集配課休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 組合側は、三月三〇日、組合からの申出により次長室において行なわれた当局側との面会において、「組合の既定方針どおりやっていく。」等の申入れを行なったが、同原告は、右面会及び前記三(二)1(2)ア(イ)の三月二八日二回目の面会にいずれも出席した。

(ウ) 同原告は、三月三〇日早朝、玄関付近において、指令内容等を記載したビラを配布した。

(エ) 同原告は、三月二八日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

オ 原告番号5棚町繁延

(ア) 同原告は、三月二八日、第二集配課の休息コーナー及び事務室を、一二月五日、第一、第四集配課の各休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、前記三(二)1(2)ア(ウ)の一二月一四日の集団抗議に参加した。

カ 原告番号6梅崎邦昭

(ア) 同原告は、三日二八日、第二集配課休息コーナーを、一二月三日、レイアウト変更前の第五集配課を、一二月四日、第二集配課休息コーナーを、一二月六日、第四集配課休息コーナーを、一二月一〇日、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一一日、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一二日、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一四日、第二、第四集配課の各休息コーナー及び第一、第五集配課の各事務室を、一二月一五日、第二、第四集配課の各休息コーナー及び各事務室を、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、三月二八日午前一〇時二八分ころ、前記三(二)1(2)イ(ウ)の集団抗議に参加し、同日午前一〇時三五分ころ、エレベーター前階段において、原告江田久夫が右大城戸事務官から奪った印刷物を原告舩越莞太郎から受け取り、階下に駆けおり、同日午前八時二七分ころ、第一集配課コーナーにおいて、同所に来た原告田中義己に対し、「よそはどげなふうな。」と尋ね。同日午前一〇時三五分ころ、勤務を欠いた組合員がたむろしている第一集配課休息コーナーにおいて、右組合員に対し、大声で「中庭に集合。」と指示し、同日午前一一時三一分ころ、原告金子昭男の出勤簿押印に付き添い、押印後同原告を室外へ退去せしめ、同月三〇日及び三一日の各早朝、いずれも玄関付近において、指令内容等を記載したビラを配布し、一二月一〇日午前一〇時〇五分ころ、第一集配課休息コーナーにおいて、福中局長等との話合いの模様を組合員に説明し、同日午後二時三六分ころ、第一集配課副課長松尾秀丸が原告樋口和彦を自席に呼び、同原告から出された年休請求について付与できない旨申し向けたところ、右原告樋口に同行していた原告梅崎は「いいですよ。」と答え、同月一二日午後二時五五分ころ、第一集配課休息コーナーにたむろしていた組合員を引きつれて同課課長席に赴き、松尾副課長に対し、「指令九号で仕事につきます。仕示してください。」と申し出、同月一四日午後一時三一分ころ、第一集配課休息コーナーにたむろしていた組合員が勤務に就いた際、作業指示をした同課課長相良公夫に対し、「課長の命令は全員支配下に入っているということか。」と発言した。

(ウ) 同原告は、三月二九日、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールの用具を運搬した。

キ 原告番号7福吉修平

(ア) 同原告は、一二月三日、レイアウト変更前の第五集配課を、一二月四日、第二集配課休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、三月三一日早朝、玄関付近において、組合のビラを配布し、一二月五日午前七時三二分ころ、第一集配課休息コーナーにおいて、同課課長相良公夫が就労を拒否している組合員に就労を命じた際、右組合員に対し、「みんなメモしといてな。」と指示し、同日午前七時四五分ころ、同休息コーナーにいた組合員三名にそれぞれ担当職務を聞き、同日一一時二四分ころ、同課事務室において、同課課長相良公夫の制止命令を無視して、同課各区分台の残留郵便物を見て回り、同月一〇日午前一〇時〇五分ころ、同課休息コーナーにおいて、福中局長等との話合いの模様を組合員に説明し、同月一四日午前八時二分ころ今永執行委員長から何事か耳打ちを受け、同六分ころ同課事務室で就労中の組合員に耳打ちして廻り、右組合員らの作業をやめさせ、同月一五日午後四時二三分ころ、組合員がたむろしている第二集配課休息コーナーにおいて、右組合員に対し、「ここは何名か。」と尋ねて人数を把握し、同月一六日午前八時一四分ころ、第一集配課課長代理席に赴き、同課職員の担当職務を書き写し、同月二三日午前九時五二分ころ、第一集配課課長相良公夫が勝手に作業を始めた組合員に対しそれぞれ待機して指示を待つよう命じたところ、同課長に対し、「担務変更をしていないじゃないか。指定表を見せろ。」などと言って抗議し、更に、同日午前一〇時一四分ころ、同課副課長松尾秀丸らに対し、「なん言いよるか。お前は知らんのか。担務は変更されてないじゃあないか。」等大声で抗議した。

(ウ) 同原告は、三月二八日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

ク 原告番号8鳥飼豊行

(ア) 同原告は、一二月四日、第二集配課休息コーナーを、一二月一〇日、第一、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一一日、第一、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一二日、第一、第二集配課の各休息コーナーを、一二月一四日、第二集配課各休息コーナーを、一二月一五日、第二、第四集配課の各休息コーナーを、一二月一六日、第一、第二集配課の各休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、三月二八日、前記三(二)1(2)イ(ウ)の集団抗議に参加し、一二月四日、第二集配課において、午後二時三一分ころから同三四分ころにかけて、庶務課長桑名稔夫に対し「仕事場を元にもどせと命令しなさい。」と発言し、更に同日午後八時ころ第三集配課課長川崎猛に対し、「元にもどさんな。」と発言し、同月五日午前七時三九分ころ、及び同月六日午前八時二分ころ、いずれも第二集配課において、川崎課長が組合員に対し就労命令を発している状況を写真撮影し、同月五日午後七時五〇分ころ、就労命令を発した同課長に対し、「昨日言ったでしょうが、もとのとおりにもどせば仕事するよ。」と発言し、同月一〇日午前八時一〇分ころ、久保園労務連絡官が第二集配課において勤務を欠いている組合員に対し就労を命じたところ、組合員に対し、「無視していこう、挑発に来たんだから。」と指示し、同月一一日午後六時六分ころ、第二集配課課長席において、同課の勤務指定表を書き写し、同月一二日午前七時四〇分ころ同課において、管理者が組合員に対し就労命令を発している状況を写真撮影し、同月一四日午前九時五八分ころ、久保園労務連絡官が同課休息コーナーにおいて同所にたむろしている組合員に対し就労命令を発したところ、同労務連絡官に対し、「元にもどせば仕事する。便所一つ作りきらんで。」と発言し、同月一五日午前八時六分ころ、同休息コーナーにおいて、第二集配課課長大道章に対し、「このキチガイが。」と言い、同月一六日午後一時三三分ころ、第二集配課において、管理者が組合員に対し就労命令を発している状況を写真撮影した。

(ウ) 同原告は、三月二八日及び同月二九日、管理者の命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

ケ 原告番号9今村豊美

(ア) 同原告は、三月二八日、第二集配課休息コーナーを、一二月四日、第二集配課休息コーナーを、一二月一〇日、第二集配課休息コーナーを、一二月一二日第一、第二集配課の各休息コーナーを、一二月一四日、第二集配課休息コーナーを、一二月一五日、第二集配課休息コーナーを、一二月一六日、第二集配課休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、三月二八日午前八時ころ、九州郵政局人事部管理課課長補佐溝田定利が第三集配課休息コーナーにたむろしていた組合員に対し就労命令を発した際、右命令に反撥した原告本迫一利に対し、「だまっとけ、だまっとけ。」と指示し、同日午前一一時三一分ころ、原告金子昭男の出勤簿押印に付添い、押印後同人を室外に退出せしめ、同日、前記三(二)1(2)イ(ウ)の集団抗議に参加し、一二月四日午後四時二二分ころ、巡視した第二集配課休息コーナーから退出する際、同所にたむろしていた組合員に対し、「私は帰ります。皆さん頑張って下さい。」と発言し、同月一四日午前八時五四分及び同五七分ころ、同休息コーナーにおいて、同所にたむろしていた組合員に就労命令を発した管理者に対し、「この人は気をつけろ、コロビ屋やけん。」、「あんたが一番せからしか。」など言い、同日午後〇時二九分ころ、同課において、就労している組合員に対し、「さあ時間ばい。」と指示して作業をやめさせた。

(ウ) 同原告は、三月二八日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

コ 原告番号10中野恒文

(ア) 同原告は、一二月三日、レイアウト変更前の第五集配課を、一二月四日、第一、第二集配課の各休息コーナーを、一二月五日、筑紫局第一、第二集配課の各休息コーナーを、それぞれ巡視した。

(イ) 同原告は、三月二八日午前七時四三分ころ、第四集配課休息コーナーにおいて、同所でたむろしていた組合員に対して就労命令を発した同課課長春田修一に対し、「いちいち判っとるちゃけん、しつこいわ。」と言い、同月三〇日午前一一時三六分ころ、原告金子昭男の出勤簿押印に付添い、押印後同人を室外へ退出せしめ、一二月五日の巡視の際、筑紫局庶務会計課長梅北友三郎に対し、「俺は執行委員だ。」と名乗り、同月一一日午前八時四六分ころ、第二集配課休息コーナーにおいて、同所にたむろしていた原告小山田修一に、中勤及び夜勤者の氏名を尋ね、同月一四日午前一一時四四分ころ、第四集配課休息コーナーにたむろしていた組合員が就労する際、同課課長に対し、「今から仕事をします。」と発言し、同月一五日午後四時一五分ころから同二四分ころまでの間、第四集配課事務室から同課職員の勤務指定表を持ち出してこれを書き写し、同月一六日午前八時七分ころ、同課休息コーナーにおいて、同所にいた管理者を見ながら、同所にたむろしていた組合員に対し、「ここにおる者はみんな書いておきなさい。」と指示し、同月二三日午前九時四五分ころ、同休息コーナーで就労していなかった組合員が就労する際、同課課長に対し、「課長今から仕事しようかな。」と発言した。

(ウ) 同原告は、三月二九日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

サ 原告番号11上原利信

(ア) 同原告は、一二月六日、筑紫局第一、第二集配課の各休息コーナーを巡視した。

(イ) 同原告は、一二月一三日午後二時三〇分ころ、就労していなかった第四集配課の組合員が就労する際、同課課長に対し、「今から仕事をします。」と発言し、同月一四日午後一時四五分ころ、第五集配課で作業指示を受けるため待機していた原告小山哲也らに耳打ちし、同人らを室外へ連れ出すとともに、同課課長山田英司に対し、「これは組合の指令だ。」と発言し、同月一六日午後七時一分ころ、第四集配課休息コーナーにおいて、同所にたむろしていた組合員に退去を命じた同課課長春田修一に対し、「あんたが帰ったらいいじゃないか。」と言った。

(ウ) 同原告は、三月二九日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

シ 原告番号12北口菊夫

同原告は、一二月五日午後六時六分ころ、福西局(以下同原告に関しては同局)郵便課事務室にある差立大区分棚付近において、管理者が原告瀧山寿男に対して業務命令を発していた際、同原告に対し、「何も言うな。仕事はせんでもよい。」と指示し、同月一〇日午後三時四九分ころ、第一集配課事務室において、配達作業から帰ってきた原告北口ら組合員が書留郵便物等を同課課長席に放置したため、同課課長渡辺磊三郎が特殊室へ返すよう指示したところ、右組合員に対し、「ハイハイと言っとけ。」と指示し、同月一二日午前一一時一分ころ、それまで勤務を欠いて第一集配課休息コーナーにたむろしていた組合員に対して集まるよう指示するとともに、「二、三人ずつ外に出て。」などと指示し、更に、同日午前一一時三〇分ころ、右組合員に対して「行こう。」と指示して局外へ立ち去らしめ、同日午後四時一四分ころ、局外から入局した組合員が右休息コーナーにおいて更衣を始めた際、原告有吉常裕に対して「いそげ。」と指示し、同月一三日午前一〇時三六分ころ、同休息コーナーにおいて、「ヨイショ」と言って合図をし、同所にたむろしていた組合員を中庭に降ろし、同日午後一時六分ころ、同休息コーナーにおいて、次長市成武紀が同所にたむろしていた組合員に対して就労命令を発した際、右組合員に対し、「なるべくかたまれよ。」と指示し、同日午後一時二〇分ころ、同休息コーナーにおいて、たむろしていた組合員に耳打ちしてまわり、更に、同二時二五分ころ、「行こうか。」と言って組合員を中庭に降ろし、同二七分ころ、第一集配課事務室において、同課課長中本保に対し、「指令一〇号により今から仕事をします。」と発言し、同三二分ころ、同原告に対して何時まで作業を行うのか質した市成次長に対し、「終りまでするよ。」と答え、同月一四日午前八時四八分ころ、第一集配課エレベーター付近において、同原告に作業指示をした中本課長に対し、「指令一一号により只今より就労を拒否します。」と発言し、同日午前一一時二一分ころ、同課休息コーナーにおいて、同所にたむろしていた組合員に対し、「休憩(休憩中の職員のこと)がくるから向こうへ行け。」と指示するとともに、同日午前一一時四五分ころ、右組合員らが就労するに際し、その先頭にたって中本課長に対し、「指令により一一時四五分から就労します。」と発言し、同月一五日午前八時三〇分ころ、第一集配課休息コーナーにたむろしていた組合員に対し、「よし、掃除しようや。」と指示し、同日午前一〇時五八分ころ、同所において、原告石田利夫らに対し、「休憩(休憩中の職員のこと)がくるから、こっちへこい。」と指示し、同月二三日午前九時四五分ころ、同休息コーナーにおいて、「さあ、行こうか。」と言って立ちあがり組合員を誘導し、そのころ、渡辺副課長に対し、「四五分。就労します。」と発言し、同月二四日午前八時三〇分ころ、原告石田利夫とともに第一集配課副課長席に赴き、中本同課課長に対し、「ただいまから就労を拒否します。」と発言し、同日午前九時二九分ころ、第一集配課休息コーナーにおいて、同所でたむろしていた組合員に対し、「仕事に行くぞ。」と指示するとともに、同課課長席に赴き、中本課長に対し、「九時三〇分就労。」と発言した。

ス 原告番号13栗秋和治

同原告は、一二月六日午前八時二八分ころ、筑紫局(以下同原告に関しては同局)第一集配課において、同課内の状況を写真撮影し、同月一二日午後二時五六分ころ、同課休息コーナーから組合員を退出せしめ、同五八分ころ、右組合員が就労するに際し、同課課長大内田正信に対し、「課長、只今から三時五五分まで勤務します。」などと発言し、同月一三日午前一一時五五分ころ、同課事務室において、庶務会計課長梅北友三郎から組合物品を撤去するよう命じられたところ、「やるならやってみろ。委員長に電話しろ。」などと発言し、同日午後二時三〇分ころ、第一集配課休息コーナーにたむろしていた組合員が大内田課長のところに赴いた際、同課長に対し、「指令一〇号で就労します。」と発言し、同月一四日午前一一時四五分ころ、同休息コーナーにたむろしていた組合員五名が就労した際、大内田課長に対し、「只今から就労します。」と発言した。

セ 原告番号14藤野守

同原告は、三月二九日、管理者の就労命令を無視し、前記大濠公園で組合員が行なったソフトボールに参加した。

2 その他の原告らの懲戒処分及び訓告処分の理由について

(1) 業務移管拒否闘争及び年末闘争への参加による欠務

原告番号16江良、同17大島、同18本迫、同19小山、同20松田、同21石橋、同22平川、同23石河、同24島内、同25脇坂、同26上田、同27遠山、同28阿比留、同29小西、同30板浦、同31津上、同32播磨、同33横山、同34槻木、同47金子及び同48奥園は、業務移管の実施及び年末繁忙対策の実施に際し、全福中労(年末は全福郵労)の違法な闘争に参加し、三月二八日から四月四日までの間及び一二月三日から同月二四日までの間において欠務し、同63高田、同64中島、同65橋口、同66小田、同67加藤、同68高良、同69合屋、同70市丸、同71吉田、同72清水、同73石川、同74松林、同75安松、同76小金丸、同77杉野、同78石掛、同79西川、同81来島、同82結城、同83田村及び同84藤川は、業務移管の実施に際し、全福中労の違法な闘争に参加し、三月二八日から四月四日までの間において欠務し、同15門司、同35成松、同36宮森、同37浦田、同38木原、同39村田、同40森本、同41長山、同42太田、同43橋口、同44石井、同45百田、同46岩野、同49樋口、同50王野、同51吉原、同52小山田、同53南、同54橋本、同55崎山、同56原、同57石田、同58吉良、同59有吉、同60野田、同61月形、同62筒井、同85木村及び同86瀧山は、年末繁忙対策の実施に際し、全福郵労の違法な闘争に参加し、一二月三日から同月二四日までの間において欠務したものであり、これらの欠務の状況は、別紙欠務状況表のとおりである。

(2) 祝日休配実施に際しての欠務

原告番号20松田、同22平川、同23石河、同24島内、同25脇坂、同26上田、同27遠山、同28阿比留、同29小西、同30板浦、同31津上、同32播磨及び同48奥園は、五月六日、勤務指定を変更されたにもかかわらず勤務の一部を欠いたものであり、原告番号21石橋、同33横山及び同34槻木は、同日の勤務を欠いたものであり、その欠務状況は別紙欠務状況表のとおりである。

(3) 職務命令違反

原告番号80江崎は、年末繁忙対策の実施に際し、全福郵労の違法な闘争指令に基づき、一一月一八日及び同月二六日の両日、郵便窓口事務に従事した際、上司の職務上の命令に従わず、年賀郵便葉書の売りさばきを拒否したものである。

四  被告の主張に対する認否

(一)  被告の主張(一)について

1 同1ないし3の各(1)はいずれも争う。

2 同1ないし3の各(2)については、いずれも被告主張の組合員が当局の期待する勤務をしていないことは認め、その余は争う。

原告らは、団体交渉を経ない労働条件の一方的変更には自らは拘束されないとの見解の下に、個々の組合員が当局に対して従前の労働条件で就労するとの態度をとるものと理解して本件における行動をとったのであり、これは同盟罷業のような争議行為に該当しない。

原告らに対する教宣ビラの配布や組合掲示板への掲示による指示は、今永公男執行委員長の独自の判断によってなされたものであり、組合としての執行委員会等の決定に基づくものではない。

(二)  被告の主張(二)について

1(1) 同1(1)のうち、被告が主張する各原告の組合役職は原告番号14藤野守を除いて認め、その余は争う。

(2) 同1(2)について、

冒頭部分のうち、各原告が被告主張の別紙欠務状況表記載の日時に当局の期待する勤務をしなかったことは認める。ただし、被告の主張する五月六日の勤務指定の変更は違法である。

各原告の個別行為についての認否は以下のとおりである。

ア 原告番号1田中義己について

(ア) 同原告の行為のうち(ア)(イ)(エ)の各事実は認める。

(イ) 同(ウ)については、三月二八日の行為は認め、その余は争う。

イ 原告番号2舩越莞太郎について

(ア) 同原告の行為のうち(イ)(エ)の各事実は認める。

(イ) 同(ア)については、同原告が被告主張の日時に同主張の場所に行ったことは認め、その余は否認する。

同原告は、恒例の朝のあいさつまわりをしたにすぎない。

(ウ) 同(ウ)については、三月二八日、原告今村に対し、近藤課長にとりあわないよう指示したこと、同月三〇日早朝にビラ配布の場にいたこと及び同月三一日の行為はいずれも認め、その余は争う。

ウ 原告番号3江田久夫について

(ア) 同原告の行為のうち(イ)(エ)の各事実は認める。

(イ) 同(ア)については、四月二日及び一二月三日、同原告が被告主張の時刻に同主張の場所にいたのが巡視目的であるとする点を除き認める。

このときは、恒例のあいさつまわりをしたにすぎない。

(ウ) 同(ウ)については、三月三〇日及び同月三一日の各ビラ配布並びに一二月三日の写真撮影は認め、その余は争う。

エ 原告番号4境善政について

すべて認める。

オ 原告番号5棚町繁延について

同原告の行為のうち、三月二八日の巡視は認め、その余は争う。

カ 原告番号6梅崎邦昭について

(ア) 同原告の行為(ア)については、三月二八日に被告主張の場所にいたのが巡視目的であるとする点を否認し、その余の事実は認める。

(イ) 同(イ)については、三月二八日原告田中に対し「よそはどげなふうな。」と尋ねたこと、同月三〇日及び三一日の各ビラ配布行為、一二月一〇日の組合員に対する説明、同月一二日の松尾副課長に対する発言及び同月一四日の相良課長に対する発言は認め、その余は争う。

(ウ) 同(ウ)は争う。

キ 原告番号7福吉修平について

(ア) 同原告の行為のうち(ア)(ウ)の各事実は認める。

(イ) 同(イ)については、一二月一〇日の説明を認め、その余は争う。

ク 原告番号8鳥飼豊行について

(ア) 同原告の行為のうち(ア)(ウ)の各事実は認める。

(イ) 同(イ)については、一二月四日及び五日の各発言、同月一一日の勤務指定表の書写、同月一四日の発言、同月一六日の写真撮影は認め、その余は争う。

ケ 原告番号9今村豊美について

同原告の行為のうち(ア)(ウ)の各事実を認め、(イ)は争う。

コ 原告番号10中野恒文について

(ア) 同原告の行為のうち(ウ)の各事実は認める。

(イ) 同(ア)については、同原告が被告主張の日時に同主張の場所に行ったことは認め、その余は否認する。

(ウ) 同(イ)については、一二月一四日の発言、同月一五日の書写、同月二三日の発言を認め、その余は争う。

サ 原告番号11上原利信について

(ア) 同原告の行為のうち(ウ)の事実は認める。

(イ) 同(ア)については、同原告が被告主張の日時に同主張の場所に行ったことは認め、その余は否認する。

(ウ) 同(イ)については、一二月一三日の発言を認め、その余は争う。

シ 原告番号12北口菊夫について

同原告の行為のうち、同月一三日の「なるべくかたまれよ。」、「行こうか。」、「指令一〇号により今から仕事をします。」及び「終りまでするよ。」、同月一四日の「指令により一一時四五分から就労します。」、同月二三日の「四五分、就労します。」並びに同月二四日の「九時三〇分就労。」との各発言は認め、その余は争う。

ス 原告番号13栗秋和治について

同原告の行為のうち、一二月一二日ないし一四日の大内田課長に対する各発言は認め、その余は争う。

セ 原告番号14藤野守について

同原告の行為は認める。

2 同2の(1)、(2)については、各原告が被告主張の別紙欠務状況表記載の日時に当局の期待する勤務をしなかったことは認め、その余は争う。

被告の主張する五月六日の勤務指定の変更及び原告番号80江崎に対する業務命令は、いずれも違法である。

五  原告らの主張

(一)  年次有給休暇及び病気休暇

1 原告番号11上原利信、同21石橋勇次、同33横山学及び同34槻木敏雄はいずれも五月六日全日の、同30板浦誠一は一二月一六日四時間の、同36宮森勝基は一二月一二日二時間の、同45百田直孝は一二月一四日全日の、同46岩野準司は一二月一七日全日の、同49樋口和彦は一二月一一日四時間の、同51吉原則満は一二月一〇日一時間の、それぞれ年次有給休暇を請求した。

2 原告番号35成松喜太郎は、一二月一三日全日の病気休暇を請求した。被告はこれを承認しなかったが、右不承認は違法、無効である。

(二)  懲戒権の濫用

1 原告らは、かつて全逓に所属していたものであるところ、昭和四五年二月一七日、全逓中央執行委員会により一方的に組合員資格を剥奪された。そこで、右原告らのうち福中局関係者は、同月一八日、全福中労を結成し、さらに昭和五二年六月一二日、筑紫局及び福西局を含めて組織を拡大するとともに、全福郵労に名称を変更した。

全福中労は、結成以来被告福中局長ないし同郵政大臣に対し、各種事項について団体交渉の申入を行なってきたが、右被告らは、これを一貫して拒否する態度をとり続け、更に、本件で問題となっている業務移管、祝日配達休止及び年末年始繁忙対策の各実施によって必然的に発生する組合員の労働条件の変更に関して組合の申し入れた団体交渉も、一切拒否した。

被告らの右のような違法な団体交渉拒否の態度を考慮すれば、原告らに対する本件各懲戒処分は、事実上の根拠を欠き、また、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとして違法かつ無効である。

2(1) 原告番号1ないし同14の各原告に対する懲戒処分は、他の原告らに対する処分より重いものである。しかしながら、被告の主張(二)1(2)のアないしセで被告が主張する各原告らの行為は、一般組合員でもなしうる類いの言動であり、それ自体必ずしも組合員の闘争を指導する立場からなされたものとは言い難く、右各原告に対してなされた一般組合員に比して格段に重い懲戒処分は、その合理的根拠を欠き裁量権を逸脱したものとして違法かつ無効である。

(2) 原告番号1田中義己、同2舩越莞太郎及び同3江田久夫に対する本件懲戒処分は、いずれも停職一年であり、同じ執行委員会の構成員である他の原告に対する懲戒処分が停職三か月以下であることと比べると、著しく重い処分である。

しかしながら、被告主張の処分理由事実を見るかぎり、執行委員会の構成員である原告は、全く同じ態様で同盟罷業の企画、実施、指令発出に関与したとされており、なにゆえに右三名の原告のみにこのような重い懲戒処分がなされたのか示されていない。同原告らは、組合の役職上は、副執行委員長あるいは書記長といういわゆる組合三役の地位にあったことから、とくに他の執行委員と区別して、処分の量定の差異を設けたものとも思われるが、被告が争議行為として問題としている本件の組合員の集団的行動に関して、右三名の原告が副執行委員長あるいは書記長としての地位に基づき他の執行委員と比較してとくに強い指導的役割を果たしたとの具体的事情はなんら存在せず、組合の執行委員会の意思決定過程において、副執行委員長および書記長が他の執行委員より強い指導制と影響力を持つという組合規約上の根拠もないし、そのような運営が事実上なされていたということもない。

したがって、右三名の原告に対する停職一年の懲戒処分はなんら合理的な根拠がなく、他の役員に対する処分に比して著しく均衡を欠くものであって、裁量権を逸脱したものとして違法かつ無効である。

六  原告らの主張に対する認否及び反論

(一)  年次有給休暇及び病気休暇について

1 原告らの主張(一)の1のうち、原告番号11上原、同21石橋、同33横山、同34槻木の各五月六日の年次有給休暇請求の事実は認める。同原告らについては、時季変更権を行使した。すなわち、年休の取扱いについては、所属長が事業の正常な運営を妨げると認めた場合は他の時季に与えることができる旨、労働基準法三九条に定められているところ、五月六日の件をみると、福中局においては初めての祝日休配試行であり、祝翌日(六日)は、休配に伴い月曜日と同様に大幅に業務量が増加することが予想されたため、業務を正常に運営するため平常日よりも要員配置を増やし、原則として全員出勤とし、四月二三日の全福中労に対する説明の際に、業務運行の確保に最大限協力願いたいこと、祝翌日は原則として全員出勤すること等の内容も説明しており、このような状況の下で、業務の正常運行に支障があると判断して年休を他の時季に変更した。

その余の原告らの年次有給休暇請求の事実は争う。

同原告らは、いずれも違法な闘争に伴って勤務を欠いているのであり、適法な年次有給休暇の請求があったものとは認められない。

なお、原告番号45百田及び同46岩野については、時季変更権を行使した。即ち、郵政事業における年末繁忙期間というのは、年賀葉書等平常時の数倍に及ぶ厖大な郵便物を短期間に処理しなければならず、そのため多数の非常勤職員(学生アルバイト等)を雇用するとともに、一般職員に対しても時間外労働や休日労働を命じる等、平常時よりも要員配置を相当増やし、業務の正常運行を確保しなければならないのであって所属長としては、このような状況の下で年休を与えることは、業務の正常な運営に支障があると判断し、適法に時季変更権を行使したものであり、ましてや、全福郵労の違法な闘争により職場の混乱を極めていた事情を考慮すれば、業務支障の甚だしいことは明らかであり、所属長のとった措置に何ら責はないというべきである。

2 同2は否認する。

(二)  懲戒権の濫用について

原告らの主張(二)の1及び2(1)、(2)はいずれも争う。

第三証拠(略)

理由

第一懲戒処分取消請求について

一  請求原因(一)及び(二)の各事実は当時者間に争いがない。

二  本件懲戒処分の理由となった各闘争の背景事情について

(一)  (証拠略)によれば被告の主張(一)1(1)の事実を認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(二)  (証拠略)によれば被告の主張(一)2(1)の事実を認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(三)  (証拠略)によれば被告の主張(一)3(1)の事実を認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

三  各原告らの行為

(一)  原告番号1ないし14の各原告について

1(1)  被告の主張(二)の1項中、右各原告の組合役職は、原告番号14藤野守を除いて当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる(証拠略)によれば同原告が業務移管闘争時に組合の中央執行委員であった事実を認めることができる。右認定に反する(証拠略)の記載内容はたやすく採用できず、他に同認定を覆すに足りる証拠はない。

(2) また、(証拠略)を総合すれば同項(1)イ(ア)の事実を、それぞれ認めることができる。

この点について、原告らは、右各闘争に関する指示は今永公男執行委員長独自の判断によってなされたものであって、組合としての指示・指令ではない旨主張し、証人今永公男の証言並びに原告北口菊夫、同舩越莞太郎及び同栗秋和治の各本人尋問の結果中にはこれに沿う部分が存するけれども、前認定の各闘争の背景事情及び後述の各闘争の態様を前提に右各証拠を照らし合わせると、右証言及び各本人尋問の結果は採用できず、他に同認定を覆すに足りる証拠はない。

2  同項(2)の冒頭部分中、右各原告がそれぞれ別紙欠務状況表記載の日時に被告らの期待する勤務に服さなかったことは、当時者間に争いがない。

3  右各原告の具体的行為について

(1) 原告番号1ないし11の各原告の職場巡視行為(被告の主張(二)1(2)のアないしサの各(ア))のうち、原告番号1及び3ないし9の各原告の行為(但し、同3江田の四月二日及び一二月三日分、同5棚町の一二月五日分並びに同6梅崎の三月二八日分を除く。)は、いずれも当時者間に争いがない。

その余の職場巡視行為(右括弧内の但書で除いた部分及び原告番号2、10及び11の各原告の行為)については、当該原告らが、被告主張の日にその場所に行ったことは当事者間に争いがなく、(証拠略)によると、同原告らは、いずれもその勤務と関係のない部署や組合員が集まっていた休息コーナー等に赴いていたことが認められるところ、右事実に、右各証拠によって認められる同原告らのその際における言動並びに前認定の本件各闘争に至る背景及び同原告らの組合役職を併せ考えると、同原告らは、本件各闘争を貫徹すべく、組合員の状況を把握してその統制を保ち、必要に応じて連絡をとる目的をもって各職場を巡視していたものと認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

(2) 原告番号1ないし4の各原告の面会出席等の事実(被告の主張(二)1(2)のアないしエの各(イ))については当事者間に争いがない。

(3) 原告番号1ないし4、7ないし11及び14の各原告のソフトボール参加の事実(被告の主張(二)1(2)のうちアないしエの各(エ)、同キないしサの各(ウ)及び同セ)については当事者間に争いがない。

また、原告梅崎(原告番号6)が三月二九日、ソフトボールの用具を運搬した行為(被告の主張(二)1(2)カ(ウ))は、(証拠略)によりこれを認めることができる。

(4) 右各原告のその余の行為

ア 原告番号1田中義己

被告の主張(二)1(2)ア(ウ)の同原告の行為のうち、三月二八日の行為は当事者間に争いがなく、(証拠略)によれば、その余の行為を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

イ 原告番号2舩越莞太郎

被告の主張(二)1(2)イ(ウ)の同原告の行為のうち、三月二八日、原告今村に対し、近藤課長にとりあわないよう指示したこと、同月三〇日早朝にビラ配布の場にいたこと及び同月三一日の行為はいずれも当事者間に争いがなく、(証拠略)いずれも昭和五二年三月二八日に福中局玄関前を撮影した写真であることが当事者間に争いのない(証拠略)並びに同原告本人尋問の結果によれば、その余の行為(但し、三月二八日の集団抗議参加の事実を除く。)を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

ウ 原告番号3江田久夫

被告の主張(二)1(2)ウ(ウ)の同原告の行為のうち、三月三〇日及び同月三一日の各ビラ配布並びに一二月三日の写真撮影は当事者間に争いがなく、(証拠略)並びに弁論の全趣旨によればその余の事実を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

エ 原告番号4境善政

被告の主張(二)1(2)エ(ウ)の同原告のビラ配布行為は当事者間に争いがない。

オ 原告番号5棚町繁延

被告の主張(二)1(2)オ(イ)の同原告の集団抗議参加行為は、(証拠略)によりこれを認めることができる。

カ 原告番号6梅崎邦昭

被告の主張(二)1(2)カ(イ)の同原告の行為のうち、三月二八日原告田中に対し「よそはどげなふうな。」と尋ねたこと、同月三〇日及び同月三一日の各ビラ配布行為、一二月一〇日の組合員に対する説明、同月一二日の松尾副課長に対する発言及び同月一四日の相良課長に対する発言は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の事実を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

キ 原告番号7福吉修平

被告の主張(二)1(2)キ(イ)の同原告の行為のうち、一二月一〇日の説明は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の事実を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

ク 原告番号8鳥飼豊行

被告の主張(二)1(2)ク(イ)の同原告の行為のうち、一二月四日及び五日の各発言、同月一一日の勤務指定表の書写、同月一四日の発言並びに同月一六日の写真撮影は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の事実を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

ケ 原告番号9今村豊美

被告の主張(二)1(2)ケ(イ)の同原告の行為については、(証拠略)によりすべてこれを認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

コ 原告番号10中野恒文

被告の主張(二)1(2)コ(イ)の同原告の行為のうち、一二月一四日の発言、同月一五日の書写、同月二三日の発言は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の行為を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

サ 原告番号11上原利信

被告の主張(二)1(2)サ(イ)の同原告の行為のうち、一二月一三日の発言は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の行為を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

シ 原告番号12北口菊夫

被告の主張(二)1(2)シの同原告の行為のうち、同月一三日の「なるべくかたまれよ。」、「行こうか」、「指令一〇号により今から仕事をします。」及び「終りまでするよ。」、同月一四日の「指令により一一時四五分から就労します。」、同月二三日の「四五分、就労します。」並びに同月二四日の「九時三〇分就労。」との各発言は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の行為を認めることができる。同原告本人尋問の結果中右認定に反する部分は右各証拠に照らし採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

ス 原告番号13栗秋和治

被告の主張(二)1(2)スの同原告の行為のうち、一二月一二日ないし一四日の大内田課長に対する発言は当事者間に争いがなく、(証拠略)によればその余の行為を認めることができ、同認定を覆すに足りる証拠はない。

(二)  原告番号15ないし79及び同81ないし86の各原告について

同原告らが被告主張の別紙欠務状況表記載の日時に当局の期待する勤務に服さなかったことは、当事者間に争いがない。

(三)  原告番号80江崎秀利が、年末繁忙対策の実施に際し、一一月一八日及び同月二六日の両日、郵便窓口事務に従事した際、上司の職務上の命令に従わず、年賀郵便葉書の売りさばきを拒否したことについては、同原告が明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。

四(一)  以上の事実によれば、原告らは、

1  昭和五二年三月二八日から同年四月四日までの間、組合の指令を受けて、福中局長をはじめとする上司の警告や就労命令等を無視し、勤務時間中に集団で職場を離脱し、局外の公園でソフトボールをする等して所定の勤務を欠き、

2  同年一一月五日の組合の指令を受けて年賀葉書の売りさばきを拒否し、同年一二月三日から同月六日まで、同月一〇日から同月一六日まで及び同月二三日、二四日の間、組合の指令を受けて、三局長等の警告や就労命令等を無視し、勤務時間中に集団で職場を離脱し、あるいは突然一斉に作業を止めたり一斉に就労するなどして所定の勤務を欠いた

ものであり、その結果、業務の正常な運営を阻害したものというべきである。したがって、原告らの右1、2の行為は、いずれも公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項で禁止された争議行為に該当する。

(二)  原告らは、所定の勤務を欠いたことについて、これが各原告個々の意思に基づくものであるから同盟罷業に該当しない旨主張するが、原告らの行為が組合の指令に基づくものであることは前認定のとおりであるから、右主張はその前提を欠き採用できない。

(三)  また、原告らは、五月六日の勤務指定の変更並びに原告番号80江崎秀利に対して発せられた年賀郵便葉書売りさばきの業務命令がいずれも違法である旨の主張もしているけれども、本件で問題となっている勤務指定の変更等の業務命令は、すべて公務員の職務に関して権限のある上司から部下の公務員に対して発せられた命令であって、当該命令を受けた公務員としては右命令に重大かつ明白な瑕疵がない限りこれに従うべき義務があるところ、本件においてそのような瑕疵を認めることはできないから、この点に関する右原告らの主張は採用できない。

(四)  そこで、前記三で認定した各原告の行為をみると、これはいずれも公労法一七条一項並びに国家公務員法九八条一項、九九条及び一〇一条一項(原告番号3江田久夫及び同80江崎秀利については、一〇一条一項を除く。)に違反し同法八二条各号(原告番号3江田久夫及び同80江崎秀利については同条二号を除く。)の懲戒事由に該当するというべきである。

五  原告らの主張について

(一)  年次有給休暇及び病気休暇について

1  原告番号11上原利信、同21石橋勇次、同33横山学及び同34槻木敏雄が、いずれも五月六日全日の年次有給休暇を請求した事実は、当事者間に争いがない。

しかしながら、(証拠略)並びに原告上原利信本人尋問の結果によれば、右各原告らに対し時季変更権が行使された事実が認められるところ、(証拠略)及び原告上原利信本人尋問の結果によれば、祝日配達休止関係について前記二(三)で認定した状況のもとで、祝日休配の翌日である五月六日には業務量の大幅な増加が予想されたこと、そのため当局は平常日より要員配置を増やし、原則として全員出勤の予定としていたこと、このことは、四月二三日に既に組合に対しても説明していたこと等の各事実を認めることができ、右各事実によれば右各原告らに五月六日全日の有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に該当するものと言い得るから、当局の時季変更権行使は適法である。したがって、右各原告らの年次有給休暇取得の主張は理由がない。

2  原告番号30板浦誠一、同36宮森勝基、同45百田直孝、同46岩野準司、同49樋口和彦及び同51吉原則満について

原告番号51吉原を除く右各原告らが、その各主張する日に年次有給休暇を請求した事実は、それぞれ当該原告本人尋問の各結果によりこれを認めることができる。

しかしながら、同原告らが、一二月三日から同月二四日まで断続的に就労を拒否する組合の争議行為に参加していたこと、組合は、当局が示した年末年始繁忙対策の取扱い方法に対して、「レイアウト変更に伴う作業場の移動による変更された職場での作業拒否」「臨時便の差立、発着業務の拒否」等を指令し、要するに、従前の勤務形態であれば就労するが、変更された勤務形態のもとでの就労義務はない旨主張していたことは前認定のとおりであり、そうすると、右各原告らが、その主張する日に年次有給休暇を請求したとしても、これは勤務に就くべきことを前提にしてその義務を免れるために請求したものではなく、争議行為における組合の主張すなわち旧形態の勤務のために待機するという主張を貫く目的でなされたものと推認され、そこには、そもそも、当局の適法な時季変更権の行使によって事業の正常な運営の確保が可能であるという、年次有給休暇制度が成り立っているところの前提が欠けているから、右各年次有給休暇の請求は、結局、それ自体が争議行為の一手段としてなされたものといわざるを得ない。したがって、このような年次有給休暇の請求は適法な権利の行使としての効力を有するものとは認められない。

また、原告番号51吉原が年次有給休暇を請求した事実はこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって、この点に関する同原告らの主張は理由がない。

3  原告番号35成松喜太郎が病気休暇を請求した事実は、これを認めるに足りる証拠がない。

(二)  懲戒権の濫用について

国家公務員に懲戒事由がある場合に、懲戒権者が当該公務員を懲戒処分に付すべきかどうか、また、懲戒処分をするときにいかなる懲戒処分を選択すべきかを決するについては公正でなければならない(国家公務員法七四条一項)ことはもちろんであるが、懲戒権者は懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、その他諸般の事情を考慮して、懲戒処分に付すべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定できるのであって、それらは懲戒権者の裁量に任されているものと解される。したがって、右の裁量は恣意にわたることをえないことは当然であるが、懲戒権者が右の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして違法とならないものというべきである。

原告らは、本件懲戒処分について、懲戒権濫用の事情として団体交渉拒否の事実及び各原告の具体的行為の評価を屡々主張しているけれども、業務移管、祝日配達休止及び年末年始繁忙対策に関する組合と当局との団体交渉の経過を含む本件各争議行為に至る経緯、本件各争議行為の目的及び態様、原告らの組合役職並びに原告らの具体的行為の性質、態様及び情状は前認定のとおりであって、そこには本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠くとすべき事情は認められないし、他にこれを認めるに足りる証拠も見当たらないから、本件懲戒処分が懲戒権者に任された裁量権の範囲を越え、これを濫用したものとすることはできない。

したがって、原告らの右主張も採用することができない。

六  よって、被告らがなした本件懲戒処分はすべて適法なものと言うことができる。

第二損害金及び未払賃金請求について

一  原告番号81来島実ないし同86滝山寿男が、別紙欠務状況表記載の日時に当局の期待する勤務に服さなかったことは当事者間に争いがなく、これと第一で述べたところを総合すれば、右は本件各争議行為の参加に伴う違法な欠務であると認めることができ、被告福中局長及び同福西局長が右各原告らに対してなした訓告処分に何ら違法はない。

二  第一及び前項で述べたとおり、本件懲戒処分及び訓告処分が適法である以上、これが違法であることを前提とする原告らの損害金請求はすべてその前提を欠き失当である。

三  また、同様に、原告らについて労務の提供又は適法な休暇の取得(請求原因(四))を認めることができないことも明らかであるから、原告らの未払賃金請求もすべて理由がない。

第三結論

よって、原告らの本件請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤浦照生 裁判官 倉吉敬 裁判官鹿野伸二は、転補のため署名捺印できない。裁判長裁判官 藤浦照生)

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